故郷の繊細な四季の変化を、ご紹介します。

零下 11月9日    
 小菊

窓ガラスから冷気が忍びこむ。隣家の屋根が真っ白だ。本格的に霜が降りたようだ。動きの鈍い体をせかして外に出る。枯れ井戸の底に透明なシールを敷いたような氷の幕。
今朝は相当凍み込んだ。強い霜に打たれて草花が息を殺している。
 
晩秋になっても色あせず、周囲に季節の名残を主張していた小菊。流石に今朝の寒さに意気消沈したか、深く頭を垂れている。陽が射せば再び元に戻るのだろうか。
この小菊が色を失ってしまえば、本格的な冬の到来。
零下 11月9日
銀杏

イチョウの大木の根元に銀杏が落ちている。未だ朝日が届かない。昼になれば老女が拾いに来るだろう。今年は不作だと私は思うのだが、この間出合った老女は豊作だと呟いていた。なかなかこの感覚の違いは埋まらない。

風に飛ばされたイチョウの葉が、道脇で霜に打たれている。こうなっては役にもたたない。毎年霜が降りると、銀杏でなくこの葉を集めに来る人がいる。一枚一枚丁寧に拾い集めていく。 何に使うのか定かではが、商売では無さそうだ。


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