故郷の繊細な四季の変化を、ご紹介します。

晩夏の夜明け 9月2日  
 処女光

秋が忍び寄る朝。薄い雲の中から太陽が昇ろうとしている。午前5時40分。私は遅れて収穫に向かう。墨汁を流したような東の空が、わずかに明けてくる。コスモスが行く夏を惜しむように数本咲いる。盛りを過ぎても、この花の色合いは変わらない。人の心と違って。
 
暫くすると周囲が一気に明るくなった。9月に入ったとは言え、まだ夏が残っている。今日は熱くなりそうだ。そう言えば、この夏は暑中見舞いを1通も書かなかった。儀礼で付きあっていた人とは疎遠になり、親しい友とはメールでやり取りしている。離れていても全く距離を感じない、この時勢。
木々の実 9月2日 
ナツハゼ

私の郷では、「コンマラハジキ」と呼んでいる。その葉は少しでも秋を感じると、気早に色づいてくる。「実」はブルーベリーに似ているが、それより酸味が強く、野性的である。昨年知人から、この実のジャムを貰ったが、その酸味が忘れられない。
 山栗

子供の頃、台風が通り過ぎると、隣近所誘い合わせて、山に拾いに入った。台風の風に煽られて、の木の周囲には、小さな栗がそこかしこに落ちていた。イガのとげを避けながら、時間を忘れて拾い集めたものだ。今では山に入る人もいない。


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