『挫折だけが人生さ』と言うような中年男が感じる、故郷への慈しみを発信します。


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    母を見舞う

 4月25日の夕方、姉からの電話で母が再び発熱したことを知らされる。普段は家の電話にかかってくるのに、携帯に入ってきたので、一瞬いやな予感がした。誤嚥により、再び肺炎を起こしたと言う。電話の向こうの姉は、明らかにうろたえていた。私も体中の力が抜け、溜息の出そうな感覚に襲われた。何故。どうして。姉の話では、食事の一部が気管支から肺に入った可能性が高いと、医師に言われたとのこと。思いもよらない事態であった。
 前日、私は主治医から順調に回復しているので、25日からは、部屋も個室から大部屋に移り、リハビリのメニューを始めると聞いて、喜んで嬬恋に帰ってきたばかりある。昨日の今日なので信じられない気持ちだが、兎も角、92歳7ヶ月の患者なので、何がおきても不思議では無いと思い直し、姉にできる事はやってきたのだから、余り落ち込まないように話す。母の症状も心配だが、入院以来、精魂込めて看病してきた姉の心中を思うと、胸が痛くなった。
 それから5日、昨日、私は母を見舞った。姉からの電話で、症状は落ち着いていると聞いていたが、ウトウトしている母は、思ったより顔色もよく、私が声をかけると目をしばたいた後、私の名前を言う。苦しいかと問いかけると首を振り、朝の熱は37度1分だったと、酸素マスク越しに伝えようとする。母の頭を撫ぜてやる。母は安心したように一瞬目を瞑る。そして、私の娘2人はどうしているかと尋ねる。元気でそれぞれ頑張っていると答える。今週連れてくるからと言うと、嬉しそうに頷く。早く良くなって嬬恋に帰ろうと話しかけると、帰りたいと言う。明後日は八十八夜のお祭りだと話すと、遠くを見つめるような仕草。改めて一回り小さくなった顔を見つめる。そして思う。中学時代のように、この母にもう一度反発してみたいと。

2006/5/1
 01 手作りのホームページへ
 02 3通のメール
 03 エナメルの上履入れ
 04 母の入院
 05 3畳一間

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